私は2年連続で、私ゼミの口述練習会に参加しました。つまり、論文で散った年も、見学者として口述練習会に参加した訳です。もっとも予備校や会派の口述模試は論文合格者のみが対象なので、見学できたのも私ゼミの練習会ならではです。
論文で不合格になったその日、私ゼミの先生と電話で話していたら、「絶対に参考になるから、見学においでよ!」と強く勧められ、9月末の週末、都内の某公民館へ口述練習会の見学に行きました。勉強の具体的計画もなかったし、論文不合格は悔しかったけれど、早く自分のお尻を叩かなければならないと思ったので。
練習会参加者は、論文ゼミ出身者の他に初参加の人も加わって総勢約20名。試験官役の弁理士を相手に1回10分の模擬を終えると交代し、他の受験生の模擬を見学します。私は試験官役の隣に座り、模擬にチャレンジする受験生を正面からずっと見ていました。
「高見の見物」だからこそ気づいたことが何点かありました。まず、十分落ち着いて答えることのできる受験生はいないということ。それから、試験官席から見ていると、相手のレベルは大体わかるということ。
答えられる質問が来ると、待ってましたとばかりにペラペラペラ~と答えるのに、質問の意味内容が把握し切れなかったりすると、沈黙……「大変失礼いたしました失念いたしましたので条文集を確認させていただいてもよろしいでしょうか?!」と、テキストに書いてある文句そのまんまの“伝家の宝刀”を抜く人。ここは抜くとこちゃうやろ~“失念”じゃなくてわかってないだけやろ~という場合であってもです。これは見え見えでイタイ。このギャップの激しさは、早期合格者に多いパターンのようです。
知識の深さは十分感じられるのに、ドツボに嵌る人もいました。ある人は、当事者参加と補助参加を完全に取り違え、試験官役が助け船を出せば出すほど軌道を逸れて収拾不可能になってしまいました。わかっていないハズがないのに、予定問題を全てクリアしてくれないのでは、試験官としても×をつけざるを得ません。(ちなみにこの方は10年超のベテラン受験生で、本番でもかなり冷や汗を掻いたようですが、無事合格されました)
休憩時間には、翌年の再チャレンジに向けて、試験官や受験生の皆さんからアドバイスをもらいました。内心、「コイツ私よりもわかってないだろ?」と思う人もいたけれど、論文を突破したからには私より秀でた面があったハズ…と思い、謙虚にアドバイスを頂戴しました。
私は意匠が苦手(唯一2年連続の不合格科目)だと言うと、「原因について考えてみた?」と聞かれました。実はそれまで、意匠という科目のマイナーさ(意匠を実務で手掛けている方、スミマセン)や採点者のせいにしている節があったんですね。そのことに気づかされ、意匠で○を取るためには何を勉強し、何を心がけて答案を書けばいいのかを自分なりに考えました。
また、ベテラン受験生で、「えっ○○さん、まだ合格してないの?」と言われ続け、ようやく論文の壁を越えた方とお話しする機会がありました。その前年は、論文不合格発表から年末まで何も手に着かなかったそうです。その後論文試験の解説を丁寧に読んで自分の足りないところを認識し、翌年再挑戦されたそうです。知識十分なのに壁を越えられないという人は、壁にアタックする作業を一時中断して、壁を見つめ、壁から逃げず、自分に問いかける作業に時間を割いた方が道が開けるのかもしれませんね。